サステナブルな少量バッチ・フィルフィニッシュがもたらす革命



イギリスのCambridge Pharma社が新しく治験向け「少量バッチ・ワンストップサービス」を開始しました。サステナブルでもある彼らの新しい取り組みを通じて、少量バッチ・フィルフィニッシュのメリットをみていきたいと思います。




■ Cambridge Pharma社について


当社のパートナー企業の一つであるCambridge Pharma社は米国、欧州、アジアに医薬品・医療機器の製造拠点を有し、33年の歴史をもつ米国「SMC Ltd.」グループの一員です。他に同グループには、同じく当社パートナー企業である「Oval Medical Technologies Ltd.」が参加しています。同グループの中でCambridge Pharma社 は、臨床に使用される治験薬や医療機器の小量バッチでの生産を、GMP・cGMP準拠でワンストップで提供するサービス(以下、本サービス)を2022年から開始しました。


本サービスの特徴は、大きく3つ挙げられます。

  • ハイレベルなフィルフィニッシュ(無菌充填)生産

  • 上市に向けた生産プロセス開発支援

  • カーボンゼロを目指したサスティナビリティの取り組み




■ハイレベルでフレキシブルなフィルフィニッシュ生産


本サービスの最大の特徴は、治験薬や承認用パイロット品、上市初期といった、”少量バッチ”に特化した生産をフレキシブルに行える点です。(少量といっても、最大10,000 個/バッチまでカバーできる生産能力を提供できます。)


高レベルな無菌性保証と品質管理を提供することを念頭に、設計された独自のフィルフィニッシュ(無菌充填)工程は(このフィルフィニッシュはEMAおよびFDAのcGMP 21CFR 210、211に準拠しています。)、技術移転とメソッド開発のための、いわゆる専用のプロセス開発ラボとして機能します。そのため、プロジェクトのリスクを軽減させ、品質に妥協することなく、コストと時間を節約できる革新的なサービスとなっています。


生産可能な製剤は、低分子から高分子(非活性生物製剤)、細胞毒性製剤を扱うことができ、カートリッジやシリンジといった容器は標準品だけではなく、オーダーメード品の設計開発が可能です。また、近年ニーズが高まっている高粘度製剤にも順次対応していく予定です。


そしてご存知の通り、患者を治療するためには、製剤だけでなく、オートインジェクターといった医療機器が必要不可欠です。そこでCambridge Pharma社は当社パートナーであるオートインジェクターメーカの「Oval Medical Technologies社」との連携も念頭におき、”患者中心の”オートインジェクター開発を、よりスピーディーに実施できる連携体制を構築を加速しています。



■上市に向けた生産プロセス開発の支援


本サービスの特徴の2つ目は、 Cambridge Pharma社の技術/品質保証チームが、上市を念頭においたカートリッジといった容器から、フィルフィニッシュ工程、安定性試験をはじめとする生産工程の審査関連試験といった、生産工程開発から、少量バッチ生産・検査・出荷までをGMPに準拠し、ワンストップでサポートできる体制を構築している点です。本サービスの代表的な開発・生産フローは、以下の流れとなっています。


Phase1 生産の要素設計

製剤を生産するにあたり、顧客である製薬メーカが指定する注射筒に合うカートリッジの提案や、製剤自体の充填や滅菌工程といった生産に関する要素設計を行います。

このとき、各要素でカスタマイズの必要が発生した場合、開発も含め検討・実施します。また、製薬自体の開発も請け負うこと可能です。


Phase2 バリデーション

工程設計が完了した後、Phase2ではテクニカルバッチの作成を通して、工程のGMPに準拠したバリデーション完了をチェックポイントとして実施します。Phase1で設計したカスタマイズした要素も合わせてバリデーションを実施するため、最終的な素早い治験薬やパイロット品を提供することが可能となります。

  

Phase3 生産の開始

バリデーションが完了次第、治験薬やパイロット品の生産を行います。この段階を完了させるまでに、生産工程に関する承認審査に対応したドキュメント作成を行います。フィルフィニッシュ工程だけではなく、カートリッジの組立や検査、Qualified Person(QP)リリースにも対応します。


この他にCambridge Pharma社 では、大規模生産に向けた技術移転の支援も行っています。








■カーボンゼロを目指したサスティナビリティの取り組み


本サービス3つ目の特徴として、Cambridge Pharma社の製造施設は、世界でも類を見ない、最新鋭のアイソレーター式クリーンルームを採用している点にあります。 クリーンルームは通常、その機能を維持するため、多くのエネルギーを消費しています。例えば、同規模のオフィスビルの100倍以上のエネルギーを消費していることが明らかになっています。また、クリーンルーム環境を維持するためのコストのおよそ70%は空調エネルギーコストと言われています。


Cambridge Pharma社ではカーボンゼロを目指し、サスティナビリティ社会へ貢献するため、インテリジェント・クリーンルーム・コントロール・システム(ICCS)を導入しています。



ICCSで、クリーンルーム内の温度、湿度、圧力、清浄度などの重要なパラメータを制御し、クリーンルーム環境を低下させることなく、エネルギー消費を低減しています。 また、フィルフィニッシュルームには、HVACシステムを導入し、夜間や週末など生産が行われていない期間ルームの空気の流れを自動的に抑えエネルギー消費を低減しています。その効果は、静的システムと比較した場合、およそ60%以上を削減することに成功しています。他にもグリーン電力を使用し、照明は人感センサによってONOFFを制御して低エネルギー化を図っています。




環境にも優しい画期的な少量バッチ生産および生産プロセス開発支援にご興味ある方は、ぜひzeniusまでお気軽にお問い合わせください。


なおzeniusでは、今回ご紹介しましたCambridge Pharma社の取り組み以外にも、多くの欧州医療関連のメーカと連携し、ユニークなサービスを取り扱っております。その他サービスはこちらから御覧いただけます。